2009年4月21日火曜日

千里 嬋娟を共にせむことを  <ライネケ院長>

かえりみれば、このブログを始めたのが、去年の3月なので、早一年がたってしまった。その間に書いたブログが95回くらいにもなった。よく続いたものだと思うが、どうかな。

そんな春の夕暮れ時、二階の中空中庭で、事務長と二人、ささやかな宴を持った。

 
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事務長さん、ご苦労様。院長どんも、お疲れさん。

去年の今頃、屋上の芝生に生えて来た雑草の花を大騒ぎして刈り取ったのに、今年また、その雑草が伸びて来て、薄紫色の花をつけ始めた。やはり、巡りくるものは春なのだな。


一時暑い日が続いたのに、昨日今日と、また寒くなり、あわてて重ね着した。気候が変りやすいのも今の季節の特徴だ。寒くなったり、暖かくなったり、本当に初夏の声を聞くまでには紆余曲折がある。

一昨日、昨日とHarunoの顔を見に、高知に行って来た。なんだか、勉強で疲れていたようだったので、ちょっと心配になった。
遠くにいる若い人達、この季節、体に気をつけなさい。

   人有悲歓離合   人に悲歓離合有り
   月有陰晴陽欠   月に陰晴陽欠有り
   此事古難全    此の事 古しへより全くすること難し
   但願人長久    但だ 願はくば 人 長久にして
   千里共嬋娟    千里 嬋娟を共にせむことを

      「水調歌頭」 蘇軾(1036-1101) 
        嬋娟(せんけん):あでやかで美しい事、月の雅称

   悲しいことがあれば、うれしいことがあり、
   別離があれば、出会いがある。
   月が見える時もあれば、見えない時もあり、
   そして、月に満ち欠けがあるように、
   人生にもさまざまの時があって、
   なにごとも思い通りというわけには行かぬ。
   ただ、皆が元気でいてくれて、
   おたがい遠く離れていても、この月を
   どこかで一緒に見ていてくれたらいいのだが、
   と願うばかりだ。

2009年4月8日水曜日

おにいちゃんの家庭教師 <ライネケ院長>

春休みも半ばが過ぎたころ。

東京から帰って来て、無為に過ごしているShigeに、つい数日前帰って来た次男坊のSoraninが、物理を教えている。Soraninだって、中学時代は徹底して勉強らしいことをしなかったんだが、どういうわけか県立高校に潜り込んだあと、やっと勉強を始めた。そして、得意だったのが物理だったというわけだ。

彼が、人に勉強を教えるなんて考えても見なかったけど、見るともなく見ていると、随分辛抱強く教えているようだ。彼も成長したのだろう。

それにしても、Shigeは、これについて行けてるんかいな?

Hey, Shige ! Are you OK ? Are you staying with him ?

でも、父は黙っているのがよさそうだ。兄貴の言う事なら素直に聞けるのかもしれん。
教えるのも難しいが、教わるのも難しい。



あとから、考えると、素直に聞いておけば良かった、と思うことは沢山ある。でも、素直になれないものだ。そういうものなんだから、しょうがない。

いよいよ、春だ。と、思ううちに、春は去り、人の思いと別物のように、人生が駆け抜ける

昨夜、松山市駅前のバス乗り場から、東京行きの夜行高速バスに乗って、Shigeは、また学園の寮に帰って行った。3年前、2年前、そして昨年の今頃、このようにして、彼を送り出した事を思い浮かべた。

まだ浅き春の暗闇の中で、彼の前途の多難を思い、一斉に萌え出て来る春の緑の豊饒を恨めしく思った。

況是青春日将暮
桃花乱落如紅雨
 
いはんや これ青春 日 まさに暮れんとし
 桃花 乱れ落ちて 紅雨のごとし