2014年1月16日木曜日

おいしい季節  <ライネケ>

長かった正月休みもおわりに近づいたある日。香港、台湾を共に過ごしたあと、東京からとんぼ返りして、しばらく愛媛に帰っていたChicaも、また東京に帰ってしまって、またネコパコと二人に戻った。お休みもあと二日だけ。有効に過ごしたい。

冬といえば牡蠣の時期だ。全国的には広島、宮城、岡山の牡蠣が有名だが、愛南地区は黒潮が近くを流れ、リアス式の海岸は牡蠣の養殖に適していて、いい牡蠣が採れるという。

というわけで、ルポに乗って、やみくもに南予方面に向かったのだった。
最寄りの伊予インターから高速道に乗れば、大洲を経て、宇和島北インターまで一気に行ける、というのだが、ちょっと味気ない気もするな。目的の愛南町御荘までは約120キロ。


たどり着いた海辺には船の横付けされた桟橋の上にバラックの建物があり、どうやらここが「稲田海産」らしい。若い衆が2人ほどいて、バラックの中ではオジサンオバサンが、でっかいだるまストーブの周りで仕事している。

大きな殻つき牡蠣を10個ばかり買って、よだれを流しながら満面の笑みを浮かべるネコパコ。こんなはるかなところにまでやって来て、物好きなもんだよ。


その夕方、帰ってきて早速夕食の準備。一生懸命、炭を火吹き竹で吹いて、起こした火鉢の炭火の上に網を載せて、イライラしながら牡蠣を焼く。なかなか口があかんなあ。いやいや、焼き過ぎると身が縮まってしまって、固くなってしまうんじゃないか、とか言いながら、ストーブの上に、アルミホイールを置いて焼いたり、いろいろやってみた。


貝殻の合わせ目から、蒸気が吹き出し、口がパカンと開いたら、出来上がり。
こんな具合。中のおつゆをこぼさないように、レモンをジュっと絞り込んで、ぱくりと食べる。美味しかったよ。


翌日は、牡蠣フライの夕食。これも美味しかった。どっちかというと、ライネケは、牡蠣フライの方が好き。これにレモンを絞りかけて、ウースターソースをかけて食べるのが好き。

大分、ダメ出しもして、安定してきたC65に、30年ぶりに、ネコパコと二人乗りして、松前から伊予市の海沿いをぐるっと走ってみた。このくらいの小排気量車だと自転車と変わらないくらいの取回しで大抵のところに入っていける。一月の海辺の夕暮れは美しかった。

2014年1月12日日曜日

本部から入電

「まず香港いって、それから台湾いって、最後に日本へ帰るのです。」

「いつ」 「誰が」といった基本情報に欠ける漠然とした本部指令が入電したので、
がまはグズグズと航空機のチケットとホテルを、宮内家戦闘員の人数分予約した。

それが昨年の10月末頃であったろうか。
誰と誰を一緒に渡航させるか、何時頃到発着したら都合がよいか、あれこれと
考えるのは甚だ面倒であったので、「HISやらのおねーさんはスゲーなぁ。」
と思いつつ、最終的にはエイやあで決めた。よく判らんことは現地で解決します。
これを「臨機応変」と云うですョ。
「遠慮近憂」ともいいますが、貴君、あまり深く考えんことです。幸せになれんよ。

そういうわけで、最後まで、成田だったっけ?羽田だったっけ?などと阿呆なこと
を言いながら12月暮れに香港へ出発した。
空港のロビーにて、変キャラとポーズを決めるサボテン姉さん。
                                           
JALのプレミアムエコノミーでは、Haagen-Dazsのアイスクリームが出た。
そして、不自然なまでに微笑みを絶やさない黒髪の客室乗務員のおねーさんに
プロフェッショナル仕事の達人を感じつつ、がまはグースカ寝てしまった。

gama

2014年1月7日火曜日

あの時 この時

台北にいた。
一緒に来た家族と離れて、ひとり、知らない街をさまよった。

大きな門構えの建物が見える。
「国立臺灣師範大学」


構内に入ってみると、カフェテリアみたいなのがあった。
台湾人だけでなく、外国人らしき人もたくさんいて、軽食を食べたり、コーラを飲んだりしていた。



コーヒーでも飲むか。「義式濃縮珈琲 Espresso 50元」というのを注文する。「one espresso, please」とかでたらめに言うと、何やら大か小か、みたいなことを聞き返してくるので、「small one. with sugar ... 2 sticks please」とか言ってみる。ちょっと何?みたいな顔をされたので、「I like sweet coffee」と言うと、スティックシュガーを2本くれた。50元だと150円くらい。紙カップの底に泡入りの黒い液体が入っている。

セルフタイマーで自分の写真を撮る。
おいらも年とったもんだ。

この大学は戦前の旧制台北高等学校なのだそうだ。由緒のある学校にふさわしく、立派な構内だった。


大学の裏門を抜けて、また、通りに出た。
随分歩いた。
見上げると、緑の葉の中に赤紫の花が鮮やかに咲いていた。

通りの何かの建物の窓ガラスに、通り過ぎる自分が映っている。
さっき、花を見上げていたおいらが、おいらを見ている。

映っている自分。
見ている自分。

今、歩いている自分。
あの時、歩いていた自分。

かつて歩いた場所。
今歩いている場所。

場所は連続的に移動していくものなのか。
時は次々に過ぎゆくものなのか。
自分はそれらと共に変わっていくものなのか。
同じ自分が、時と場所と共に動いているのか。
時と場所が変われば、自分は変わるのか。
それとも、時も場所も自分も、はじめから、あるのか、何も無いのか。
時と場所とは別物で、別々に、あるいは同時に推移しているのか。
それとも、時も場所も同じものの違う呼び名なのか。
時と場所とが一体のものならば、自分というものもその中の構成物なのか。

今もあの時も同時であり、あの自分もこの自分も同一時の同一物なのだろうか。

おい、そんなに、自分自分と言うなよ。そもそも、いまだかつて自分なんてあったのだろうか。あるのだろうか。


台北のバス乗り場で空港行きのバスに乗り込んだ。バスの窓ガラスと待合の扉ガラスを隔てて、見送ってくれるChicaとGama君。

世話になった。ありがとう。

2014年1月5日日曜日

諸島闊歩日記その4

これで終わりにしようかね。
怒涛の写真のみじゃ。
 香港の露店の饅頭屋は、間違えたら
人肉饅頭ではないかという、なにやら危険を感じたんですが、
台湾は全然平気だった。
なんなの?この違い?


 普段はまっっっっっったく公共機関を利用する機会のない院長ドンの雄姿を見よ。
地下鉄カードだって使いこなしちゃうんだぜ。
 
 歯医者であろうと思われますが、
こちらでは、悪いものは全部引っこ抜いてしまえという気概が感じられますな。
医師「お前の牙を抜いて、丸裸にしてやろうか!!!!」的なね。
 
 いやー、さすが世界のホンダですよ。
 
はーい。僕、ミキえもん。
疑う必要なんてないよって、看板にも書いてあるだろう?
「不要 懐疑」ってね。
 
 台湾が一瞬独立した時のものだと思われます。
 
人の手の営みの尊さよ。
 
何より笑わせて頂いたのは、電車でもバスでも、有無を言わさず
席を譲られていた院長ドンとネコパコ事務長の姿でした。
院長ドンは、どうやら白いお髭が老師風に見えるのかしらね。
二人して、席を譲ってもらって、苦笑いの風景が微笑ましいですな。
 
まぁ、こんな感じで、さくさくっと旅行して無事帰ってきました。
普段院長ドンが、「こんな風に家族が集まれることももう何度もない」と
口癖のように言っているのを、
我々ゴロニャン共は、ほいほいと聞いているわけですが、
異国の地で、皆で丸い食卓を囲みながら、
こんな風な団欒というのを望んでも持てない日が来るならば、
出来る限り多くの機会を持ちたいと、しみじみ思いました。
いつまでも、年をとらない生き物なんて居ないから、
院長ドンも事務長ドンも、席を譲られるわけです。
 
いやー、ご両親様の脛って、やっぱり出汁が効いてて美味しいのぅ。って言いつつ、
時価でしか出さないと書かれている魚料理を注文するかどうかを
harunoと悪い顔して相談しながら思っていたのです。
とどのつまりは、出汁が効いたおみ足が、小龍包より水餃子より美味しかったから
院長ドン、また元気でお付き合いくださいませよ。ってことなんですが、
これじゃ、露骨だな。
こうしておこう。
我祈願異国再会及団欒。
 
家族が増えたり、遠くに離れたり、色々なことがあるけれど、
この目で見たり、感じたものしか、人の中には蓄積されないから、
出来ることならば、またこんな機会があれば幸せだと願うのです。
 
そんな、いつもとは違うお正月でした。
 
遅くなりましたが、皆の者、
2014年、明けましておめでとうございまする。
今年もよろしくね☆
 
 
 
 
 
 
 

諸島闊歩日記その3

なんだか、書くのに飽きてきたのう。
そんな訳で、写真だけ載せておきましょう。
 中国茶の数々。
 

 仙人掌姉者が本気で買おうかどうしようか、迷ったのは、
このニャンニャン虎と、ビョンビョン兎。
気合の入りまくった刺繍がイカス!
 永康街の古道具屋に多く出ていた、古い獅子の石像。
 
角が取れて、目と口の彫りだけが残った獅子たちは、どの子も愛らしかった。
お金の余裕と、気合さえあれば、どれか1匹連れて帰りたかった。
ガマ氏曰く、「この子は現地で出産しました。石化病なんです」と主張するとのこと。

どうやら大昔の歴史上の事件を現代のニュース番組風に解説しているらしいニュース番組
 
他に テレビを見ていて面白かったのは、
どうやら一日中放送しているらしい、独特の番組たち。
・風水に基づいたアドバイス番組 各種
・占いに基づいたテレビ電話風番組 各種
・どこかのエライお坊さんの説法番組 各種
・激しく市場の株価を解説し続ける経済番組 各種
・旅行だけが商品のテレビショッピング番組
・様々な時代の大河ドラマ 歴史が長くて民族が多い国の大河ドラマはネタが豊富ですな。
 
 うむむむ・・・・、八角の匂いがなぁ・・・・・・。
街中で多く見かけた牛肉麺。
残念ながら我が家では不評。
お!これはイケるよ。
大量の水餃子。

諸島闊歩日記その2

 
さて、台湾でも、無計画にただただ闊歩するのみ。
台北市内は地下鉄が充実しており、漢字が読めれば気楽に乗れるのが
嬉しいところだ。
毎日のように仙人掌姉者が、ガイドブックを今更ではあるが読みふけり
「明日はここ!ここに行きたい!」という独断と偏見により目的地のみを決定。
当日、ホテルを出たところで、おもむろに路線地図を取り出し、行き方を調べる。
あとは、地図を右にしたり左にしたり、傾けたり、光に透かしてみたりしながら、
なんとかかんとか、辿り着くわけだ。
その途中に、なにやら面白気なる場所を見つければ、
時間や目的を忘れ、ただ突進するのみ。
 
 突然出会った、総督府。祝日の特別開放を行っているらしい。
それも、無料で!
それなら、入るよね。だってタダなんだし。
 台日関係親善のために、ネコパコ事務長が、誰か偉い人と握手。
 台北植物園の仙人掌温室。
「ここになら住める」と二言目には「マンションが欲しい」とほざく
仙人掌姉者は、硝子を鼻の油で汚しながら、呟いた。
 我らが愛猫ロナウド先生の在りし日の雄姿ですね。
そうですね。間違いない。
 ガマは飛行機とホテルの手配という大業を果たしたため、
現地で電話付記念碑となっていた。
 歩き疲れて、転がり込んだ茶葉屋にて、院長どん筆談中。

店主おすすめの烏龍茶は、花の香りがして美味であった。
勧められるままくつろいでいる内に、
ネコパコ事務長が何かを購入せねばいかんのではないかと、
財布の中身を心配して震えていたが、
そんな事は気にせず、子供たちはガブリガブリと茶を飲み干したのであった。
もちろん、その後、茶葉を購入。
 食事は基本的に食べやすい内容だったが、八角の香りがなかなか受け入れがたい。
インドにて胃腸を鍛え上げたshige君には、なんのそのであったが、
嗅覚が敏感なガマ氏と、保守的味覚の院長ドンには、むいていなかった。
また路面の大衆食堂は、肉や魚とご飯か麺が基本で
色のついた野菜が不足していたために、
家庭を守るネコパコ事務長も、「火が通った野菜が食べたい!」と
つらい思いをしたようだ。
 日本昔話のオープニングに出てきたと思われる、長い生き物。
資本主義に飲み込まれると、こうなんちゃうんだね。
お金って怖いね。
またしても、我らがロナウド先生の爪を研ぐ雄姿ですね。
そうですね。間違いありません。

諸島闊歩日記その1

何がどうなってこうなったのか、よく分からないが、
最も変化を嫌う院長ドンが、今年の年末は国内以外の島で
一家勢揃いするようにという指令を発した。
日々、ゴロニャンと過ごしている子供たちは
日本列島の各地からえっさらほいさら、羽根付可動機に乗り、とある島に集結した。
島の名前は香港である。
不安症のネコパコ事務長、
常に眠いが、やるときはやる男haruno、
理論派ガマガエルのガマ、
小花模様をこよなく愛するスタイリッシュなshige、
そして私、口は出すが手も財布も出さない仙人掌姉者である。
そんなこんなで香港の某所。ここがどこだったのか、今も不明。
 
我が家の旅行の特徴は、
①目的地不明。
②事前準備不十分。
③行き当たりばったり。
である。
そんな中、香港の街中をそぞろ歩き、よく分からん路地を練り歩き
とりあえず、歩きに歩き、歩き回って、歩いた。
 
 香港のとあるビル88階からの眺め。
いわゆるセレブリティ的眺望というやつである。 
 
残念な事に、できる男harunoはできる男ゆえに、
1日異国の空気を吸っただけで機上の人となった。
残された家族は、更なる島を求めて、移動した。
目的地は台湾である。
以下写真順序、てんやわんや。
 

台湾の淡水とかいう水辺で、飼い猫に手を噛まれた院長どん。
 画期的通気性頭皮保護装置、着用男性。
 旅程内容を組むように、ネコパコ事務長から指示されていたのに、
メンドクサイという一心により、ダレにダレ切った、仙人掌姉者と、
それに喝を入れるガマ氏。
 なんと!
台湾の老師もホンダのスーパーカブに乗っておられるようだ。
「燃費がいいのが、やっぱ決め手だよね」というのが、
老師のありがたいお言葉であった。
 台湾での目的はなんといっても、「ホンモノを見ること」である。
これが、ホンモノの大本山、故宮博物館であるな。
淡水に落ちる夕日。
バックミュージックは、設置されたスピーカーから発せられる
ひたすら中華的演歌。正直しんどい。