2016年7月30日土曜日

明日への扉 <ライネケ>

この景色を覚えているだろうか。

子ども達が、本当にまだ子ども達だった頃、休みになれば、土曜日午後、仕事が終わって帰宅して、準備も何もあらばこそで、全員招集をかけ、シュラフやらテントやらの荷物を、エイヤアッと車に放りこんで、荷物室に1人、後席に3人が揃って乗ったら、出発。その夜暗くなって、鳴門、徳島、室戸を経て、高知市内を抜け、横浪黒潮ラインの途中にある国民宿舎にたどり着いて、一泊。翌日は、いい加減に詰め込んだ荷物を車の上の簀の子の上に載せ替えて、足摺岬を目指したものだ。足摺岬の手前に、国道脇に小さな売店があって、その横の坂をひょっと下ると、



テントやシュラフをみんなで運んで渡った懐かしい板の橋。

橋の上から海を見ると、インディアンの砦が見える。



いつだったか、冬のある日、浜でテントを準備していたら、ちっぽけな軽四輪に乗った白人の夫婦が降りてきて、ご主人はコートを岩の上に敷いて横になり、奥さんはずうっと波打ち際を歩いて、端っこまで行き、やがて、サンダルを手にぶら下げて帰ってきたっけ。そして、また車に乗って去っていった。自然との付き合い方が大人だと感心したっけ。


橋の向こうには、私たちだけの砂浜があった。夏への扉だった。
30年前は、誰もこんな地の果てみたいなところには来なかったから。


その頃の浜は、長い堤防と背後の防風林に隔てられて、国道から隠れる形で、施設らしきものはほとんどなかった。今は、トイレとシャワー設備があり、サーファー達がたくさんやってきて、車中泊で遊んでいく。

時が流れ、全てが変わる。

実は、大岐に行く前に、土佐清水の町の食堂で、数年前食べてえらくおいしかった記憶のある「サバの刺身定食」というのを食べに行った。


ネコパコは「サバのたたき定食」を食べた。



どちらも1300円。10年ほど前の記憶では、700円くらいだったと思う。
昔食べたときは、油の乗ったハマチみたいな味で、これがサバか?と感激したものだったが、今回は、新鮮ではあったが、それほど感激しなかった。冬だったらよかったのかも知れない。変わらないものはないからね。

その後、今は四万十市と呼ばれる中村市に寄った。


中村市の山裾にある四万十川学遊館に寄ってみた。



「トンボ公園」といったほうが分かりやすいかな。

今は捕ってもいいみたいだが、昔は「当園内では虫取り禁止」と看板がかかっているのに、振り返ると、うちの子供達が、馬鹿長い、真っ白の捕虫網をなびかせて走り回っているので、困惑した記憶がある。



それにしても、いろいろなことがあったっけ。

また片道180キロの道のりを、二人は途中松野のぽっぽ温泉に入ったり、内子の中華料理屋で夕食をとったりして、帰ったのだった。

野良狐のライネケと極楽とんぼのネコパコの二人道中は、これからいつまで続くのだろうね。

 世の中を
 何にたとへん
 朝びらき
 漕ぎ往にし舟の
 跡無きがごと

  万葉集 沙弥満誓 

2016年7月22日金曜日

野生 <ライネケ院長>

朝から、びいびいとひどく大きな音がする。
ゴロタが何かをくわえてやって来た。


褒めて欲しいのか、とにかく見て欲しいらしい。
それにしても、目が野生だな。


蝉だ。

まだ元気で、ゴロタの口から離れると、パタパタと羽音を立てて、部屋の中を飛び回る。
ゴロタがそれを追いかけ、また捕獲して、弄(もてあそ)ぶ。
食べるわけでもなく、放しては捕まえ、を繰り返して、とうとう動かなくなると、興味を失うらしく、放置する。
今週はもうすでに4匹以上も彼の餌食になったようだ。


むごい話だよ。
一日一善ならともかく、一日一蝉(音は「せん」)だよ。

ただ単に捕まえて、なぶって、死なせてしまうだけ。
これが野生というものなのだろうか。
自然とか野生とか、そういうものなんだろうか。


彼のネコ砂の箱でへたっていたヤモリ。
尾っぽがとれてしまって、それでも、逃がしてもらえなかったのか。

ある日なんか、夜帰宅してみたら、こんなものが床の真ん中にいた。

びっくりするぜ。
かわいそうに。
駐車場の端の草むらに埋葬してやった。
迷わず、成仏してくれ。おいらを恨むなよ。

ほかにも、カエルなんかも連れて帰ってくる。
屋上の草むらが彼の牧場(まきば)なのだろう。
ロナは毎日、外に出かけて行って、広い世界の中で自由に狩りをしていたのだろう。


きれいな目をしているのに、むごいやつだ。

自然には倫理なんてないんだろう。
ただ野生の本能の指示のままにあるだけなのだろう。
考えてみれば、人間なんて、毎日あらゆる生き物を食べて暮らしている。
そんな人間にゴロを非難する資格があるのだろうか。

夏の南の夜空に赤く輝く「さそり座」の中心星は、火星と同じくらい明るいアンタレス(アンチ・アレス=反火星)という恒星だ。「銀河鉄道の夜」の中で、ジョバンニたちと同席した女の子が語ったバルドラの野原のサソリは、神様によって空に引き上げられて、夜空に赤く輝くさそり座になったのだという。

あのサソリを追い詰めたイタチのように、ゴロタも何も知らず、他の生き物を狩って生きているのだろうか。ゴロタもおいらもあのイタチなんだろうか。そして、この世の全てがサソリであり、イタチなのかも知れない。


蝉墜ちて 五十四の夏 過ぎにけり

十年以上も前にふとこの句を思いついて、メモにして、外来の診察机の前に貼っておいたら、ある女性が見て、季重なりだと言った。なるほど。まずかったな。











2016年7月10日日曜日

仙人掌姉 がむばる

きっかけはこれだった。
こう成りたいなんて大それた考えではなくて、
このスカートが履きたいと思ったわけです。

で、苦節2か月からのさらに5か月
                           どりゃあぁぁぁぁぁ
                         うおりゃぁぁぁぁあ !
                      はぁはぁハアはぁ ひいひイひい
あとちょっとなんじゃぁぁぁぁぁ!

そう、あと5キロ。
5キロで第一目標達成なのです。
体重を落とすって大変だねっておはなし。
あと5キロ、がんばる。